ラグビーのここに注目!「ラック」

出典:ラグビールール解説

ラグビーではボール争奪のため、ボールを囲んでの密集状態が頻繁に起こります。これはラグビーの醍醐味でもありますが、そうした状態では反則が起こりやすいなど、ルールを知っておかないとラグビー観戦はわかりにくいものになります。そこで今回は、密集状態の一つ「ラック」と、その状況で起こる反則について話をします。

 

ラックとは?

 

ラックとは、プレー中に両チームの1人以上ずつが立ったまま、地面にあるボールを囲んで押し合う状態を示します。「スクラム」と同じく密集戦の一つですが、スクラムが静止状態から始まるスクラムのに対し、ラックはプレー中に始まります。

 

ラックは「ルーズスクラム」とも呼ばれ、スクラムと類似のプレーとされています。ラックはボールを手で扱ってはならず、足のみでプレーしますが、その点がラックの大原則です。ラックでは、相手を押しながら、足のみでボールをかき出そうとプレーします。

 

ラック中によく起こる反則

 

ラックがスクラムと異なるのは、タックルした選手やされた選手が倒れ、それにつまずき他の選手もどんどん倒れていくといったシチュエーションが起こりやすい点。そのため、ラック上部からボールの前に倒れ込んで防御する、つまり「オーバーザトップ」の反則が頻発します。

 

またタックルした選手は、すぐに自分が倒した選手の体から手を離さなくてはいけないルールで、手を離さない場合は「ホールディング」の反則に。一方、手は離したものの、ラック内で敵のプレーを妨げれば「ノットロールアウェー」の反則になります。そうした反則がラック中には起こりやすいのです。

 

もう一つ密集戦でよく起こるのが「オフサイド」。密集戦では、密集参加者の味方最後尾にいる選手の足のかかと位置とゴールを結んだ線をオフサイドラインとします。そのためラックに参加していない選手は、どのような場面であれ、ボールより前方に出てしまうとオフサイドになります。また、横からラックに参加してもオフサイドになります。つまりラックへは後ろからしか入れないということになります。

ラックの見どころ

 

敵にタックルしてボールを奪おうとする場合、ラックが成立するまでは手が使えます。さらに別の相手選手が、タックルが起こった場所に到着し、体をつかまれた時点でラック成立となり手が使えなくなります。ですから、いかに敵より早くタックルが起こった場所に到着できるかが大事になります。

 

これまでのラグビーワールドカップでは、ボールがラックから出そうになるとラックから即座に離れ、次の防御に向かうプレーが多かったです。しかし2018年のワールドカップでは、ラックに入り敵と押し合う「カウンターラック」が積極的に行われていました。今後はどうなるか、楽しみです。